南の島の不思議な形のダンゴムシ

ダンゴムシと聞くと捕まえると丸くなる黒い小さな生き物を思い浮かべると思います。本州の住宅周辺で普通に見ることができるのはオカダンゴムシArmadillidium vulgareという外来種なのですが、南西諸島では在来のコシビロダンゴムシの仲間が多く生息しているため、少し探すと色々な種類を見つけることができます。

フチゾリネッタイコシビロダンゴムシCubaris sp.は石垣島や西表島の山中の樹上や朽木の上を夜間歩いているものをよく見かけます。特徴は何といってもその体型です。体の縁が広がっているのでオカダンゴムシなどと比べるとずいぶん平べったく感じます。この広がりのため丸くなった時には真ん丸になれずレモンのような形になります。逃げ足が比較的速いので丸くなってやり過ごすよりも、この体型を生かして隙間に逃げ込むような習性があるのかもしれません。

近い仲間が宮古諸島や沖縄島等に数種類生息していますが、分類があまり進んでいないためネッタイコシビロダンゴムシC. murina以外は本種を含めてまだ未記載種となっています。

最近ガチャガチャのおまけとしてダンゴムシの丸くすることができる精巧な模型が販売されていますが、その中で本種が登場して一部で話題になりました。

フチゾリネッタイコシビロダンゴムシ
フチゾリネッタイコシビロダンゴムシ

このほか南西諸島には体長約2mmとかなり小さいものの、全身に小さな突起の生えたイシイコブコシビロダンゴムシHybodillo ishiiiや、内陸の湧水や鍾乳洞入口などに生息する陸封のフナムシなど変わった陸生等脚類が多く生息していますが、また次の機会に紹介させていただきます。